規格をめぐる国家戦略
2008年 05月 20日私が記者時代に手がけたかったテーマがあります。それはデファクト・スタンダードvsデジュール・スタンダード。前者は事実上の基準、つまり市場競争に勝った者が握ることができる基準で、代表的なのがパソコンのOSである「Windows」であったり、インターネットのプロトコル規格であるTCP/IPであったり、色々とあります。米国が強い領域です。一方、デジュール・スタンダードとは標準化団体などの公的機関によって定められる規格のことで、パソコンで使う無線LANやFAX、ISOなど、こちらもたくさん存在します。
記者時代は技術の世界において、開発者の観点からデファクトがいいのか、デジュールがいいのか、関心を持っていました。政治の世界に入り、ちょっと忘れかけていたのですが、今、世界で起きているニュースを政治家という視点、いかに日本の産業力を高めるかという視点から見ると、実は看過できない事態が進行中であることにハタと気付いたわけです。
それはこれまでにもブログで書いてきた欧州勢力の台頭です。今、機軸通貨をめぐってドルとユーロのせめぎ合いが始まっているわけですが、通貨以外でも欧州と米国の争いが始まっているのです。欧州の環境規制規格であるREACHやEuP、RoHS指令。いずれもデジュール・スタンダードで、これが日本企業が欧州でモノを売るときの障壁になっていることは以前のブログで触れました。
欧州だけならまだしも、欧州主導によるデジュール・スタンダードがアジアにも押し寄せているところに私は日本としての国家戦略が必要なのではないかと感じています。例えば、日本では当たり前になったETC。日本メーカーは技術的には本当に優秀で、国内メーカー製のETCはどこに出しても恥ずかしくありません。むしろ、誇るべき水準。ですから、本来であれば、今後市場が拡大するアジアでもビジネスが拡大するはずでした。ところが、現実は中国やインドなどアジア市場では大変苦戦しています。
なぜか。アジア市場ではASEAN各国が要求する規格がEU基準になっているためです。日本のメーカーはJISに代表される日本規格に準拠して開発されるため、日本をひとたび出ると、苦戦を強いられるのです。
デファクトであれ、デジュールであれ、規格は重要です。規格に準拠しなければ、モノが売れないのですから。欧州は規格を通商戦略として使いこなしているのは間違いありません。エレクトロニクス分野だけでなく、食品や食料の分野でも同じことが起きています。日本はなぜか独自規格に陥り、それを世界に広めるのが苦手ですが、今こそ世界での戦い方、国家戦略が必要なのではないでしょうか。ここの点は民でやるよりは官でやるべきでしょう。少なくとも海外はそうしているのですから。