ガソリン騒動に思う、やはり日本はモノ作り立国
2008年 05月 31日明日6月1日を迎えると、ガソリンの値段が170円を突破するのは間違いないと言われています。その関係で、5月31日の今日はどのガソリンスタンドも大混雑。かくいう私も近所のガソリンスタンドへ給油に行きましたが、待ち時間はなんと30分。
年度末からガソリンの価格高騰から暫定税率に注目が集まったわけですが、それはそれとして、ここ数年続く原油価格の高騰は先物市場に世界の投資マネーが流れ込んでいるのが原因です。先物市場の価格高騰はガソリンだけではありません。金やレアメタル(タングステンやインジウムなど)、穀物までありとあらゆる先物価格が上昇しています。店頭からバターが消えたのも、この一連の流れの中にあるわけです。
なぜ先物市場に投資マネーが流入するかといえば、世界の株式市場や債権市場、不動産市場など、どこを見ても大儲けできる市場が見当たらないからです。かつては裁定取引といって、ある一瞬に生じる同一商品の地域価格差を利用して、利益を上げるといったことも行われていました。しかし、今やブロードバンド環境などITが発達し、大学で数学を専門に勉強したロケット・サイエンティスト達が金融機関で金融モデルをはじき出す時代です。
これにより、株式にしても債券にしても、あるいは不動産にしても一部の地域(例えばBRICsやドバイなど)を除けば、投資マネーが行き場を失っているわけです。なにせ、彼らは顧客から預かったお金を確実に増やさなければいけませんから、儲かると見込んだ市場には徹底的に資金をつぎ込みます。アメリカで起きたサブプライム問題も本質は行き場を失った投資マネーが貧困層からお金を巻き上げる、いわゆる貧困ビジネスだったことにあると私は思います。
さて、かつて製造業(自動車や半導体など)で日本に押されたアメリカはITに舵を切り、その成果物として金融の力をつけました。イギリスもそうです。今やシティーは押しも押される世界の金融市場としての地位を築き上げました。今、日本の製造業は一見、中国などの押されているように見えることから、「日本も金融立国すべし」という声が方々から聞こえてきます。
しかし、果たして本当にそれが正しい道なのでしょうか。私にはそう思えないのです。今の金融市場を見ていますと、行き場を失ったマネーが断末魔の叫び声を上げているようにしか思えないのです。前職で私は記者として電機業界をずっとウォッチしていました。日本のモノ作りは品質面では世界で突出しています。これは非常に強力な国際間競争力になります。ユニークな製品をなかなか打ち出せないという欠点はありますが、ここは20代~30代の若い世代がなんとかしようと取り組みを始めてます。
iPodのような独創的な製品を日本メーカーが開発し、そしてその製品の品質に並ぶものが世界には存在しない――。こうした世界を実現できれば、わざわざ日本が金融立国を目指さなくても、世界から投資してもらえる国に生まれ変われるのではないでしょうか。
私は金融の専門家ではありませんから、誤解をしている点もあるかもしれません。ただ、ここ数ヶ月のガソリンを巡る一連の騒動を目にしたとき、ふっと「やはり日本はモノ作りで世界に勝負をかけるべきだ」と思いました。
コメント (2)
世界では、商品インデックスファンドの規模がここ5年で20倍に膨れ上がりました。これこそが商品市況の高騰を引き起こした一大要因と言われています。
昨年の二月以降、サブプライム問題が発生し、米中央銀行FRBが大幅な利下げに踏み切りました。さらに欧米の中央銀行が協調して資金の大量供給を行ったことで、おそらくサブプライム問題の最悪期は脱した模様です。
しかし、その副作用として商品市況の暴騰をまねいてしまいました。おそらく・商品市況はバブル状態だと思われます。しかし、投機マネーだけを悪役にするのは、大きな誤りです。
投機マネーはバブルを生み出す要因にはなっていますが、いつはじけるか分からないマーケットに買いを入れており、極めて、高リスクを取っています。急落すれば、大きな損失に変わります。マーケットが存在する限り、この行動は無くなりません。これこそが資本主義です。
投機と投資は極めて類似しており、投機マネーを否定することは、資本主義の否定につながります。
サブプライム問題とは低所得者層の住宅ローンが返済不能となり、滞って発生しました。このローンが証券化され、あらゆるファンドに組み込まれて起こった危機です。返済能力では年収の5~6倍が適正ですが、欧米の金融機関は15倍から20倍の融資を実施してしまい危機となったので、身から出た錆といえます。
ITバブルが崩壊し、同時テロが発生し、イラク戦争勃発でFRBが低金利政策を維持したことで住宅バブルが発生しました。住宅価格が上昇しているうちは、金融機関はローンが滞っても担保の価値が上がっており、問題化しません。しかし、事態は一変し、住宅価格が急落して危機となりました。1990年の日本とほぼ酷似しています。
私の感想では今の資本主義はバブルを回避するすべは無いのではと思います。人間の欲望がバブルを生んでいるのではないでしょうか。
さて、今後の日本は技術立国を継続すべきという伊藤先生のご意見には賛成です。しかし、すでに自動車、精密機械、建設機械、家電等の分野で日本の世界に占めるシェアは十分高く、これ以上高めるのは、外交上、得策とは思えません。日本は電気自動車、ハイブリッドカー、太陽電池、風力・波力発電、原子力発電といった環境関連に特化したほうがいいと考えます。
また、農業改革が緊急の課題です。40%に満たない食料自給率では先進国とは呼べません。世界第二位の経済大国日本が食料を輸入に頼っていることこそ、穀物価格急騰を後押ししています。農業政策を根本的に変革する必要にせまられています。
保護政策の終焉が必要ではないでしょうか。競争力のある農業に転換すべきではないでしょうか。農業の株式会社化への規制緩和をもっと進める以外にはいい方策が思いつきません。あれば、教えて頂きたく、よろしく御願いします。
投稿者: 川人 利治 | 2008年06月04日 10:36
日時: 2008年06月04日 10:36
書き込みありがとうございます。投資が資本主義の根幹であることは私も理解しています。
ただ、今の商品市況は本来の先物のあるべき姿から大きく逸脱してしまっているのではないかと危惧します。リスクを取るのはもちろんなのですが、そのしわ寄せが国民生活、もっといえば、世界の貧困層に影響を及ぼしている点は看過できません。
穀物メジャーがモノもカネも握り、その結果、貧困にあえぐ国に食料が渡らない、あるいは高いお金を出して食料を買わなければいけない事態が発生しているわけで、それらの国はその結果、今後さらなるインフレの影におびえながら暮らすわけです。果たして、本当にそれでいいのだろうかというのが私の問題意識です。誰もが納得する解決策がないだけに難しい問題ですね。
さて、私の「日本はモノ作り立国でいくべき」の本意はまさに川人さんのご指摘の通りです。太陽電池や電気自動車、原子力発電(これは賛否両論あるでしょう)、電気自動車など日本が突出した技術というのが数多くあります。これらを世界に売っていくべきだと思います。
農業についてもまったく同感です。最近ではエレクトロニクス技術を使った農業も少しずつ芽生えていまして、農薬を使わずに、しかも大量生産が可能な技術が確立されつつあります。あとは国の決断でしょう。
投稿者: 伊藤大貴 | 2008年06月04日 16:53
日時: 2008年06月04日 16:53