PFIの問題点
2008年 10月 07日PFI(Private Finance Initiative)とは、民間資金を利用して施設整備と公共サービスを実現する手法のこと。イギリス発祥の手法で、国だけでなく地方自治体でもPFIを利用した施設整備を行う事例が増えています。
ちょっと分かりにくいですね。要はこういうことです。みなさんが今、家を建てようとしています。しかし、お金がありません。そこへ大手ハウスメーカーがあなたのところに営業に来ました。「伊藤さん、私たちが家を建てるための資金を提供しますよ。伊藤さんが銀行からお金を借りるよりも、月々の返済も安くなります。その代わり、家の一部をお借りします。えぇ、そこにカフェでも開くんです。立地条件がいいですから、利益も見込めます。その利益を土地取得費用の一部に充てるんです。だから、安くなるんですよ」。
上で言うところの「あなた(伊藤さん)」を横浜市、大手ハウスメーカーを民間資金に置き換えて下さい。それがPFIです。大まかに言うと。
さて、上の事例をみなさん御自身のことだと思って想像してみてください。みなさんは借金をしましたか?それともしていませんか?いや、もっといえば、借金をしたという感覚になりますか?なりませんか?
実は非常に重要なポイントなのです。正確にいえば、借金はしていません。直接、みなさんが資金調達(銀行からの借入)をしていませんから。しかし、ちょっと考えれば、実質的には借金であることはお分かり頂けると思います。なぜなら、大手ハウスメーカーが経営破たんすれば、肩代わりしてくれていた借金はそのまま、あなたに降りかかってくるからです。昨今の経済情勢を考えれば、十分に起こり得ることです。
これがPFIの問題だと私は考えています。PFIを利用して学校を建設する、あるいは区役所や市庁舎を整備します。従来であれば、市債を発行して、その資金を建設費に充てていましたから、市債発行残高をチェックすれば、自治体の財政状況をある程度把握することができました。しかし、PFIの場合、民間が資金を調達するため、債務としてバランスシートに計上されません。ですから、バランスシートを読んでも、横浜市の財政状況を正しく把握するのが難しくなる可能性が高いのです。PFIを利用した整備事例が増えれば増えるほど、この傾向は顕著になります。
横浜市は近年、市長のリーダーシップの下、市債発行残高を減らしてきました。このことは評価すべきだと私は考えています。だからこそ、PFIの問題点はぜひとも解決すべきだと思うのです。これは横浜市に限った話ではありません。国も他の地方自治体も同様の問題を抱えています。前述したPFI発祥の地、イギリスでもブラウン政権になって、(評価方法を確立した上で)PFIを債務計上すべきとして検討が始まっていると聞きます。そして、仮にPFIを債務計上した場合、イギリスの財政は相当厳しい状況に追い込まれると言われています。
日本が、横浜市がイギリスと同じ轍を踏まないためにも早期の解決が必要だと私は思います。私はPFIの存在自体を全面否定するものではありません。問題なのはPFIの評価方法です。この点をこれまで決算や予算の特別委員会の中で訴えてきました。今でも、この考えに変わりはありません。
コメント (1)
貴ご説明で初めて知りました。PFIとは一種の三セクですね。しかも自治体が連帯保証していると考えてもいいのでしょうか。民間がコケルと、自治体に債務が生じるというと自治体は偶発債務を負っていることになりますね。であれば、少なくとも公会計上、注記がなければおかしいと思います。伊藤先生の論点は鋭いと思います。
投稿者: 森 卓爾 | 2008年10月09日 23:10
日時: 2008年10月09日 23:10