伊藤ひろたか

この際期間限定の大連立もありではないか?

2008年 10月 13日

私は自民党を応援するものでもないし、民主党を応援するものでもありません。ただ、今の世界と日本の置かれた状況を思えば、大連立がひそかに検討された1年前よりは少なくとも大連立という選択肢を取る環境になっていると私は思います。


1つは金融危機、もう1つは北朝鮮のテロ指定解除。まず、後者から。今回の件で一番、問題だったことは日本への通告が発表の30分前だったことです。事前の米国のメッセージを読み切れなかった、あるいは誤解してしまった外務省は「『予想外』と衝撃を隠しきれない」(読売新聞)と報じられています。なにより、麻生首相にブッシュ大統領から電話が入ったときに、外務省出身の秘書官が同行していなかったといいますから、いかに唐突だったのか物語っています。6カ国協議で話し合えばいいとする意見もありますが、そのようなことは今までにも上手くいっていなかったわけですから、何をかいわんやです。


民主党の菅代表代行が「政府の戦略性のなさが、予測しない形の指定解除につながった」と指摘していますが、そういう側面はあるにしても、今は批判だけしていればよいという状況ではありません。北朝鮮は独裁国家であり、軍事国家です。その国が今、核兵器を持とうとしていて、テロ指定解除によって本当に核が放棄されるのか検証が非常に難しいとされています。


第二次世界大戦から60年間、戦争のない平和の時代を享受できましたが、この時代がずっと続く保証はどこにもありません。日本は武力を放棄したからこそ、危険の芽をいち早く察知して、摘み取っていく努力を重ねていくことが国家の帰趨を決める重要案件だと私は思います。


さて、世界を見渡すと米国に端を発した金融危機が欧州に飛び火しました。様々な専門家に意見を求めますと、「金融危機は欧州こそが本丸」とみな、一様に口を揃えています。日本の輸出企業の多くも欧州で債権を発行しているため、欧州の金融市場がガタつくと日本企業へのダメージは計り知れないと聞きます。


民主党の中には日銀をはじめとする銀行出身者もいますから、政権与党と一時的でも手を組む意味があると思いますが、いかがでしょうか。それくらい金融市場は大変危険な状況に陥っているように感じます。何より今回の金融危機は米国が20年間、営々と築き上げてきた金融スキームの破たんが発端です。米国の失望感は私たち日本人から想像できないほど大きいのではないでしょうか。米国は1980年代以降、モノ作りを諦め、金融によって国を支えてきました。その支柱が今、崩れ去ってしまったのです。わずかに残った自動車産業、ビッグスリーも風前の灯。弱者連合による合併話が出ているほどです。


金融がガタつきは世界情勢を不安定にしかねません。市場が崩壊した今、政府が政治が果たす役割は相対的に大きくなっていくはずです。ですから、半年限定、2009年4月あたりを目途に自民党と民主党が手を組んで、事に当たってもいいのではないかと考えます。選挙で信を問うのも1つの手ですが、その時間はないですし、選挙を先に延ばすにしてもお互いが政局に明け暮れているよりかは、困難に共に当たる方が国民の理解が得られるように思うのですが、いかがでしょうか。


困難への道筋だけつければ、また連立を解消して政策論議を戦わせればいいのです。大きい政府vs小さい政府、医療問題(医療費、小児医療、救急医療など)、年金制度、消費税など論点はいくらでも残っていますから。


もっとも、ここは考え方が分かれるところで、今回の不況はこれからが本番。今も株価の下落で騒いでいますが、これからもっと下落するだろうとの見方が実は専門家の間では多い。つまり、まだ今の方が景気がよかったと感じる時期がそう遠くない将来やってくる、そういう見立てをする人が多いのです。そうすると、今のうちに解散して国内の体制を整えてしまうという考え方もあります。


いずれにしても来るべき大不況に備えて、政局を捨てる。今選挙をするのが適切なのか、あるいは任期満了までじっくり取り組む(大連立も一つの方法)のがいいのか、政党の事情、政局を捨てて、今こそ国民の立場になって自民党も民主党も行動して欲しいものです。

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