伊藤ひろたか

横浜市にとって本当に重要な問題(2)

2008年 11月 28日

先日のエントリの続きです。前回、エントリでは全体最適が行われていない、つまり20年後、30年後の未来の横浜が見えてこないということを申し上げました。


確かに緑は守った方がいいと私は思います。確かに守った方がいいに決まっています。しかし、それは増税をしてまで、つまり他の施策より優先してまで取り組むことかと問われた時に、私は「はい、そうです」と言いにくいのです。環境を守らなくていいと言っているわけではありません。緑を守ると施策はその性質上、効果が表れるまでに10年は要するでしょう。なぜなら、増税による税収の40%を用地買い取りに使うからです。用地買い取りは相続時など一応やむを得ない場合という説明ですから、地権者からの用地買い取り要求が本格的になるのは10年程度、先の話ということになります。


さて、今から15年後、横浜市の人口はピークを迎え、そこから先は人口減少社会が訪れます。しかも、みなさん御存じの通り、日本には年収が200万円以下の非正規社員が1000万人以上も存在します。横浜市も例外ではなく、(具体的な数字はまだ持っていませんが)都市経営局に聞きますと、やはり30代に非正規社員が増えているのは間違いないといいます。そうしますと、横浜市の人口構成では30代、4代のボリュームが大きいので、10年後、20年後も安定した個人市民税が見込めるかのようですが、実はこのボリューム・ゾーンに年収が低く、生活の安定しない非正規社員が多くいるのです。


もうお分かりだと思います。10年後、20年後、横浜市の人口がピークを迎えるより前に、市税収入は激しく落ち込むはずです。非正規社員の問題は企業が若年層の雇用を抑えて、既存の世代の雇用を守った結果ですから、その世代が引退すれば、どうなるか。税の納め手が同数であっても、収入が減っていますから、市民税は必然、減少するのです。これはそんな遠い将来の話ではありません。私は早ければ、10年もしないうちに顕在化すると思っています。


今、現役の方は想像していないかもしれませんが、みなさんは会社を辞めて年金生活になれば、保険は国民健康保険に切り替わります。国保の財源は横浜市です。財源が足りなくなれば、料率がアップします。ますます生活は苦しくなるでしょう。でも、そのとき、現役世代はもっと苦しい生活になっているはずです。「まさか」と思われるかもしれませんが、少なくともデータから見る限り、高齢化社会はテレビの向こうの地方で起きている話ではなく、私たちの目の前のヒタヒタと押し寄せている、現実の問題なのです。それも近い将来確実にやってくるのです。


その時、ある程度貯蓄がある人はいいかもしれません。若干、損をしようが今の家を売って、都内のまだ裕福な区に移ればいいからです。しかし、多くの人はそんな選択は難しいはずです。お金に余裕のある人が真っ先に横浜市から抜け出せば、市の税収構造はさらに厳しいものになります。これは決して大げさな話ではありません。何度も繰り返しますが。横浜市民の多くは都内で勤務しており、視線が東京に向いていますから、いざとなれば、簡単に都内に引っ越してしまうでしょう。


さて、少し話が長くなりました。本当に増税をしてまで取り組むべき施策が緑地の保全なのでしょうか。市民のみなさまへの耳触りはいいかもしれません。横浜市と議会が一体となって緑を守ろうとしている。非常に立派なことです。しかし、ここは1つ冷静な議論が必要ではないでしょうか。横浜市の1/3は緑に覆われているのです。十分、立派なことです。人口減少社会がすぐそこまで来ています。黙っていても人が減るのですから、常識的に考えれば、緑地が宅地開発等によって減少するということは考えにくいのです。


今、横浜市が増税をしてでも取り組むべき施策は他にもあるはずだと私は思いますが、市民のみなさまはいかがでしょうか。大都市ほど高齢化は急激に進んでしまうのです。私にはこちらの問題の方がよほど心配です。

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