新しい政策形成のあり方

予算総合審査で「新しい政策形成のあり方」について、市長と質疑をしました。このテーマは私としては確信を持っているテーマでもあります。今回は一問一答形式でもあったので、事前に原稿は用意していなかったので、動画を見て頂くのが一番いいかと思います。手元にメモが残っていますので、それをアップします。

テーマ:新しい政策形成のあり方について

今、政策形成のあり方が変わろうとしていると思っている。背景にあるのは、少子化、高齢化、それに伴う人口減少と税収の頭打ち。だから「あれも、これも」できない。一方で取り組むべき社会課題は複雑になっている。

同じ課題を抱えているはずの海外はどうしているんでしょう・・・・。

海外では、行政が単体でやり切れないから企業やNPOが少しずつリソースを出し合って行政と一緒に課題を解決しましょうという動き、シェア経済の胎動が見て取れる。アメリカでオバマ大統領のオープンガバメント、オープンデータの旗を振っているのも、ヨーロッパにおけるフューチャーセンターの取り組みが活発になっているのも、同じ文脈だと思う。今回、横浜市の調査季報でも取り上げているけど、いずれ横浜もこうした社会に移行していくだろう。

Q1:市長はこうした「シェアする経済」に移行しつつある世界の動きをどう感じているか。

社会が複雑化しているがゆえに「納得感」の醸成が大事だろう。その役割を果たすのがフューチャーセンター。利害関係者が一同に介して、自由闊達に意見を交わし、一定の方向性、解決策を見いだして行く場である。横浜市内でもフューチャーセンターの事例が生まれている。たまプラーザでの郊外部の街づくりも制作局や都市整備局、建築局と東急がフューチャーセンターでセッションを実施したところから始まった。

Q2:横浜市でこうしたフューチャーセンターの取り組みが芽生えていることに対して、どう分析しているか。

東急から聞いた話だけれども、フューチャーセンターを行ったとき、行政職員とは思えない、大胆なアイデア、活発な意見が出て、みんな、活き活きしていたそうです。

Q3:職員がなぜ生き生きしていたか、市長、想像できますか?

私が思うに、そこに参加した職員が、政策局あるいは都市整備局という無意識のうちに着ている鎧を脱いで、意見が交わせたから。だから、活発な議論になった。正にこれがフューチャーセンターの利点。組織の壁を超えて、自由闊達に意見が交わせる。

フューチャーセンターは2つに分類できる。1つはたまプラーザの事例のように、市や企業、NPOなどと様々な関係者間で対話して課題解決を図るもの。もう1つは組織内のメンバー間で対話して組織変革を進めるもの。

まず組織内のフューチャーセンターについて議論したい。組織の壁を乗り越えて、新しいものを生み出すという意味では、同じような狙いを持っていた事業がある。現場力発揮職員提案事業。側聞するところによると、事業は縮小の方向と聞いている。

Q4:この事業の現状と課題についてお伺いします。

狙いは良かったけど、新規性が必要だったことが予算確保の点からも難しかったと思う。ただ、局を超えて議論して何を生み出すという方向性は間違っていなかった。そこで組織内フューチャーセンターだ。職員が所属部署の立場を離れて自由に施策や事業を議論できる場があれば斬新なアイデア、見直しが進むだろう。ここに、庁内にフューチャーセンターという仕組みを持ち込む意義がある

Q5:庁内における取り組み状況について伺う。

庁内フューチャーセンターの取り組みはさらに充実させるべきだ。なぜ、こんなことを言うかと言うと・・・・。そうはいっても、局を超えた組織の連携不足がそこかしこにある。

具体的に指摘しよう。

例えば、創造都市と企業誘致。文化観光局が進めてきた創造都市戦略は一定の成果を出してきたとは思うが、これまでに何度か指摘してきたように、関内関外に集積したデザイン力が政策や産業に結びついていない。

Q6:その原因はどこにあると思うか。

私は文化観光局と経済局の情報共有不足が問題だと思っている。私はこの1年半、IT企業や彼らに資金を提供しているベンチャーキャピタルと議論してきた。そうすると、文化観光局が創造都市戦略の中で進めてきた、芸術不動産事業のこととか、関内関外エリアの街の魅力が伝わっていない。伝えたら、それがフックになりそうな企業はあるのに、もったいない。

Q7:関内関外エリアの街の魅力を活かした企業誘致を、文化観光局と経済局が連携して進めるべきではないか。

こういうのも庁内にフューチャーセンターがあれば、議会から指摘されなくても改善していくはずだ。

さて、ここからフューチャーセンターのもう1つの側面、行政と企業、NPOで対話する場としての側面を議論したい。今、ちょうど街の魅力を活かした企業誘致の話をしたので少し関連して鎌倉で始まった「カマコンバレー」。「ITで鎌倉をハッピーに」という標語の下、鎌倉に集う企業が自主的に街づくりにコミットをはじめている。「鎌倉ごみバスターズ」というアプリも開発された。

Q8:こうした企業の取り組みをどう受け止めているか。

横浜市が創造都市戦略でやりたかったことが鎌倉で始まっている。鎌倉という街がまとう空気にひかれて企業が集まっている。そして、カマコンバレーから見て取れるのは、企業マインドの変化だ。昨年、私はカヤックの社長とも意見交換をした。その際に彼が言っていたことは、これからの企業の役割。株主への責任、雇用の確保に加えて、「会社を置く、都市の街づくりへのコミット」がこれから求められているという話だった。

今、明らかに企業マインドが変化している。富士ゼロックスR&Dスクエアもその代表格。4900人のITのスペシャリストがみなとみらいにいる。彼らも街づくりのコミットしたいと考えている。同社の3階のスペースを市と共有してもいいというアイデアさえ出ていると聞いている。

Q9:富士ゼロックスR&Dスクエアの取り組みについての所感はどうか。

横浜市には時代の変化をしっかりと読み取って欲しい。カヤックしかり、カマコンバレーしかり、富士ゼロックスR&Dスクエアしかり。社内のリソースを少しだけ割いて地域のために貢献したい企業が現れている。正にシェアする経済だ。

ヨーロッパが正にこの流れにある。オランダの水道局LEFフューチャーセンターや国税局のザ・シップヤード、イギリスのBIS省のフューチャーフォーカスなど各国各都市で取り組みが始まっている。

Q10:海外におけるフューチャーセンターの取り組み事例を研究して欲しい

実は横浜にもフューチャーセンターのひな形はある。多様な主体が意見を交わし、政策形成を図るためのプラットフォーム=フューチャーセンターが定義とすれば・・・横浜会議がまさにそれに当たる。ただ、残念ながらホームページを見る限り、活発に活動しているように見えない。

Q11:横浜会議の現状と課題は何か。

横浜会議を平成16年に設置していたのは、横浜市に先見の明があった証拠だと思う。 その点は評価する。ただし、活発に活動しているように見えない現状は大変もったいない。

Q12:平成25年度に横浜会議をどう進めていくのか。

フューチャーセンターをうまく動かすポイントは海外事例からも明らかなようにファシリテーターの育成が重要だ。

Q13:この点についてどうしていくのか。

フューチャーセンターは場、空間も大事。いかに、みんなが鎧を脱いで、自由に意見交換を交わせるかが大事だ。富士ゼロックスR&Dスクエアの空間の提供の話もある。あるいはYCC開港記念会館など創造性をかきたててくれる空間がたくさんある横浜。積極的に活用してほしい。

さて、プラットフォームの次は材料。場があっても議論するための数字、材料がなければ意味がない。だからオープンデータ。会派としては昨年から積極的に提言してきたところだ。横浜市では昨年末に民間レベルでオープンデータを推進する組織が立ち上がった。また、25年度には金沢区独自事業として先行的に子育て情報におけるオープンデータの取り組みもスタートする。オープデータを取り巻く環境はまさに機は熟していて、全庁的な体制作りが求められている。

Q14:25年度にどのような体制でオープンデータの取り組みに臨むのか。

今、横浜はかろうじて全国のどの自治体よりも先駆けている状態だが、うかうかしていられない。千葉市では市長の旗の下、先日、オープンデータの研修も始まった。横浜の特徴は市職員、民間、NPO、市民とステークホルダーが全員集っていること。そして、そのステークホルダーがみんな、ほぼ等しく同じ熱を帯びていること。これは全国的にも希有な状態であり、大きなアドバンテージ。足りないのは市長の強力なリーダーシップのみ。

Q15:改めて市長の意気込みを伺います。

時代は今、変わりつつある。その認識を市長以下、局長のみなさんに持って欲しい。富士ゼロックスR&Dスクエア、カヤックの話をした。企業は都市に、街に何らかのコミットをしようとしている。フューチャーセンターという対話の場も作れる環境にある。対話の材料になるデータも横浜市がその気になれば、いつでも提供できる。NPOも市民もいる。

まさに限られた税収の中で、納得感を醸成しながら、政策を作る時代に突入している。当然、職員の働き方も変わっていくだろう。そこで提案だ。googleの20%ルールを横浜市に導入出来ないだろうか。20%ルールとは、就労時間の20%は自分の業務を離れて、社内で動いている他のプロジェクトに関わりましょうというルールだ。行政で20%はやり過ぎだと思うが、例えば、5%ルールはできないか。「自分の業務を離れて、別の政策形成に関わってもいい」とするルールだ。5%といえば月に1日、あるいは半日を2回。そんなに無理は生じないだろう。

Q16:職員が勤務時間の一部を本来業務以外のこと、でもそれは市の業務に充てるとした場合に、どんなことが課題になるか。

どうせ働くなら、楽しく働いた方がいいと私は考える。そして、今、縷々お話してきたフューチャーセンター、オープンデータの話。これはもう世界的な流れ。税収が足りないんだから仕方ない。企業のマインドも変わりつつある。遅かれ早かれ、横浜にもやってくる。

そのときに職員の働き方、評価の仕方も変わってくると思うし、そういう研究も先駆けてやってほしいなと思う。日本でどの自治体が、今、世界で起きつつある変化に気付けるか、いち早く対応できるか。

今日は政策形成のあり方という視点で議論しましたが、これはゆくゆくは横浜の経済や雇用、世界に対する存在感など、あらゆる範囲に及ぶ話であることを申し上げておきたい。

最後に。

Q17:政策形成のあり方は行政が全部やる時代から、企業やNPO、市民を巻き込んで、少しずつお互いがリソースを出し合いながら政策形成を図っていく時代になると思いますけど、市長の見解はどうか。