多摩市立愛和小学校を視察しました〜レゴ×ICT=国語

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この週末は多摩市立愛和小学校の授業を見学させて頂きました。昨年11月にグーグルと国際大学GLOCOMが共同で立ち上げたプロジェクト「Innovation Nipponプロジェクト」の第2回の「教育のイノベーションとICT」にパネリストとして参加した縁で、お誘い頂きました。教育関係者をはじめ、IT、行政、保護者、マスコミなど総勢200名近い方が当日の授業を見学していました。

多摩市立愛和小学校は2013年10月より1人1台タブレット環境を実現し、ICTをベースにした授業を展開しています。取り組みはまだ始まったばかりですが、関係者によると「児童の学習姿勢、意欲に(ICTの導入前に比べて)顕著な違いが見られる」とのことで、私も大変期待して同校を訪問しました。

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私が見学したのは3年生の国語の授業。これが色々な意味で私にとっては衝撃でした。まず、どんな授業だったかを説明しましょう。授業に使うのは「レゴ」。同社が2014年1月に発表した「Story Starter(ストーリースターター)」を使います。ストーリースターターは、子どもが自分で作り上げた物語の場面場面をブロックで再現し、それをiPadなどで撮影、専用のアプリ4コマ漫画として出力するというもの。

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この教材がいいのは、まず、物語(起承転結)を考えるアナログな部分から始まる点です。そして自分たちが考えたストーリー、世界観をレゴを使って表現します。この過程で子どもたち同士が「あぁでもない、こうでもない」と議論するので、自分の考えを形にする難しさ、伝える難しさなどをレゴという玩具を通じて学ぶことができます。そして、それをiPadで写真に撮るという、子どもにとっては何とも言えない遊びの要素こそが、この授業に対する子どもの関心度をぐっと高めていました。

通常の国語の授業で「起承転結を考えましょう」と先生が言っても、面白いと思えない子にとってはなかなか理解できないことも、レゴとiPadを組み合わせることでいとも簡単にそのハードルを乗り越えていました。
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何より興味深かったのが、この授業が国語として実施されていたことです。通常、この手の教材は教育委員会なり、学校現場が理解できず、「通常の教科としては実施できない。やるとしたら総合学習の時間になるが、時間が少ない(他にもやらないといけないことが多い)」という理由から、導入の議論の俎上に乗らないことが多いのです。

知識の伝達が大事であることはもちろんですが、これからより重要なのは、論理的な思考力や自らの考えを人に伝える、理解してもらう力をどう涵養するか、です。経済がグローバルに繋がり、あるいは人口減少していく社会だからこそ、子どもたちが将来、社会に出るころには、私たちの日本も好むと好まざるとに関わらず、人種や文化、世代を超えた多様性と寛容性のある社会に移行していく流れになっていくだろうと思います。だからこそ、自分の考えを他人に伝える、理解してもらう、あるいは相手の理解するといった力がこれまで以上に重要になると私は考えます。

レゴに限定する必要はありませんが、私がこれまでにブログなどで何度か取り上げています、ボードゲームの授業導入も発想は同じです。ボードゲームの導入が進まないのも、従来の常識に当てはまらなく、教科として実施できないという理由。今回のレゴはそのハードルを乗り越えていた点も大変興味深いものでした。

ストーリースターターは今後、大阪市阿倍野区の小学校、三重県内の小学校でも導入が決まっているとのことで、結局、トップの腹一つ、決断一つで、教育は大きく変わっていくのだなと改めて気付かされました。