1%の確率と100個のボール

僕は今年、イセザキモールの入り口に、アーティスト・クリエイターの活動支援拠点「THE CAVE」を始めました。自分でこういう拠点を立ち上げていながら、ここが横浜の芸術シーンをガラッと変えるとは思っていません。こんなことを書くと仲間に怒られるかもしれないけど、実はそう思っています。ガラッと変えることはないかもしれないけど、芸術を支えるという意味を変える、大きなピンにはなるだろうと思って、リスクを負って、事業を始めました。

 

そこで今回のブログのタイトルです。1%の確率というものをどう考えるか。1%で成功する確率のボールを1個ずつ投げていれば、100回投げれば、1回成功します。「何を当たり前のことを」と思うでしょう。その1回の成功が最初の第一投で生まれればいいけど、30回投げても、40回投げても成功せず、100回目で成功することもある。この場合、投げている人は疲れてしまいます。体力(資金)が続かなくて辞めないといけないかもしれないし、文字通り体力がなくなって投げられなくなるかもしれません。これは投資というものに対する、日本が置かれている現状だと、以前、あるIT業界の方から話を聞いたことがあります。要は投資を支える裾野が圧倒的に小さいのです。

 

アメリカの場合。この1%の確率で成功するボールを投げる人が100人、いる。100人が一気に「せーの」でボールを投げるので、その1回の投球で(その代わり100個のボールを投げるけど)、100個の中から成功が生まれるわけです。アメリカではベンチャーがどんどん生まれるという言われるけど、実は成功するかどうかなんていうのは、アメリカも日本もほとんど変わらなくて、違いはその確率は低くても、ボールを投げる人がたくさんいるから、短時間で成功が生まれているように見えるのだ、と。日本のベンチャー投資は確か昨年で4000億円。アメリカは4兆円、中国は2兆円。人口比で考えても、圧倒的な差です。お金を出す人の裾野の広さが違いすぎるのです。

 

 

前置きが長くなりましたが、アートを支えるということも基本的にはこの話と同じだと思っています。「いい演劇」ばかりでは必ずしもないと思う。きっと、当たりもあれば、ハズレもある。それでも、いつかすごい演劇が生まれることを信じて、みんなが支えられるか。そういう拠点をできることなら、行政からの補助金に頼らず、経済活動によって生み出される資金によって支える、そんな拠点をつくりたいと思って、THE CAVEを立ち上げました。イセザキモールや吉田町、野毛といったエリアで、アーティストが廉価で表現の場として使える拠点が、それも街に開かれた場所で20も30もあれば、その時は変わるんじゃないかと思う。100個のボールを一度に投げられる環境になるから。それをCAVEだけでやろうとしても、そこには限界があります。ただ、その最初のピンになろう、と。

 

そして、THE CAVEを通じて、これから政治の役割、行政の役割というものについても向き合っています。初当選から10年近くが経過し、僕がいつも持っている危機感は横浜市の財政運営です。巨大東京経済圏の中で、これから東京の主要エリア(中央区、品川区、江東区、世田谷区・目黒区の一部)に人口の集中が進んでいく。そのときに、横浜市の青葉区や港北区など、比較的恵まれているとされているエリアだって、東京主要エリアへ人口が流出する可能性は十分起こり得る話です。そうなったときに。横浜市は今と同じように芸術に対して補助金を出すことができるだろうか。現場は支えたいと思っても、財政サイドが認めるだろうか。

 

芸術は予算としてはどうしても真っ先に見直しの対象になりやすい分野だと私は感じています。でも、そんなことをしちゃいけない。これから始まる、いやもう既に始まりつつある東京経済圏におけるエリアの淘汰の流れにあって、横浜がこれからも活力ある都市として生きていくためには、横浜らしい顔を持ち続けていることが大事です。その横浜らしい顔の一つは芸術だろうと私は思います。だから。補助金に頼らずに、経済活動で支えていける拠点を作りたいと思い、THE CAVEに繫がっています。まだスタートしたばかり。来年2月にはTPAMで海外のアーティストをはじめ、国内の著名なアーティスト、クリエイターをTHE CAVEで受け入れるという話も水面下で進捗しつつあります。2017年2月のTPAMは私たちにとっては、最初の大きなチャンスです。しっかりと頑張りたいと思いますし、このTHE CAVEでの取り組みはこれまで議会でも度々取り上げてきた、空き物件の再生、地域経済の活性化、芸術支援という複数の政策を同時に解決する事業だと私は考えています。

your action is our future!〜最高にワクワクする横浜を、つくろう。