【NY視察】公開空地にも賑わいを

ニューヨークの公共空間で特徴的な取り組みが公開空地。PRIVATE OWNED PUBLIC SPACE、通称POPSと呼び、私有の公共空間のことを言います。日本の公開空地によく似ています。写真はロックフェラーセンターの前にあるPOPSです。

 

POPSの歴史は古く1961年から制度が始まっています。これはいわゆる規制緩和のメニューで、民間事業者が商業ビルなどを建設する際に容積緩和の措置と引き換えに、敷地の一部をパブリックスペースとして公開する制度です。POPS内にはベンチやテーブルなどは民間事業者が設置し、その後の維持管理も担います。そういう意味で行政負担なく、パブリックスペースと賑わいを生み出す仕組みと言えます。

街区と街区の間、つまり商業ビルの中にPOPSを作った事例もあります。連なる商業ビルがすべてPOPSを用意することで、実質的にこのPOPSが道路のような役割を果たしていました。

通常、このようにPOPSの前には公に解放していますよ(OPEN TO PUBLIC)という標識が掲げられています。

日本ではちょっと考えにくいのですが、こうした建物内のPOPSも存在します。これはトランプタワーの一角にあったPOPS。商業ビル内のPOPSで有名なところとしては、ソニービルの中に設けられた、SONY PLAZA PUBLIC ARCADEがあります。商業ビルの中にPOPSを作って、それによりそのビルは容積緩和措置を受けられる、というのは、日本だとなかなか理解されにくい気がするのですが、PUBLICというものに対する考え方が異なるのかもしれません。

 

日本の場合、商業ビル内の公開空地と言われても、結局、その便益を受けるのは商業ビルになるので、タコが足を食うではありませんが、非常に我田引水な仕組みになってしまわないかと感じたのですが、この点をニューヨーク市の都市計画局の職員の方に質問したところ、「ニューヨークでは、室内のPOPSを設置することに違和感はなかった」とのことでした。確かにソニービルのPOPSも見に行きましたが、商業ビルとは関係なさそうな人たちがチェスをやっていたり、思い思いの活動が展開されていました。

 

まぁ、そういう意味では横浜における、みなとみらいのランドマークからクィーンズに至る、あの商業ビルの中に作られた歩行者動線はパブリックな動線で、改めて横浜の都市計画が先進的だったことを再認識もしました。ニューヨークで都市計画に携わる人たち、あるいは普段何の気なしにPOPSの心地よさを享受しているニューヨーカーがみなとみらいの、あの空間を見た時に何を感じるだろう、と、そこが大変気になりました。

もちろん、POPSもいいことばかりではありません。この写真を見てもらうとわかるように、座れるように作ったはずのベンチ兼花壇に、金属製のレールのようなものが設置されています。これでは人は座ることができません。これはPOPSの設置を義務つけられた商業ビルサイドが、わざと金属製レールを取り付けたとのこと。その意図は、人を座らせないようにすることで、維持管理をしなくて済むようにした、とのこと。

 

こうしたPOPSの悪例は他にもあるようで、2000年にニューヨーク市はPOPSの新基準を定め、ベンチなどの要件をもう少し厳密に定めたようです。