【NY視察】雨のハイライン、曇りのハイライン

ニューヨークの都市計画、特に公共空間のリノベーションによってニューヨークの都市空間がどのように変化し、市民生活にどのような影響をもたらしたか、その辺を調査したいと思い、3月下旬にニューヨークへ。このブログはその視察報告です。

 

さて、視察2日目の午後は日本でも有名なハイラインへ。ハイラインは全長2.3kmの公園。元々はマンハッタンのウェストサイドを走る貨物列車の廃線跡です。ウェストサイドには精肉工場をはじめとする各種加工工場が集積したエリアで、それらの工場で加工された製品を貨物を使って輸送していました。しかし、物流の変化により、輸送は貨物からトラックへと変わり、ハイラインの貨物は役割を終えました。

廃線跡のハイラインは長らく放置されたままでした。調べてみて私も驚きましたが、実に1980年代には廃線になり、当時はこの高架を撤去する住民運動がおきていたといいます。廃線跡の利用をどうするか決まらないまま、時だけが経過し、その間、この高架下は、これまたブライアントパークやマディソンスクエア同様、売春や暴行など犯罪の温床となっていました。当然、誰も近寄りたくない場所だったことでしょう。

 

治安向上に注力した、1990年代のジュリアーニ市長時代に、ハイラインは解体と決まったのはある意味、自然な流れのように思います。この決定が変わったのは、2000年になり、公共空間のリノベーションをニューヨークの都市政策の柱に掲げたブルームバーグ市長の誕生です。その後のハイラインの公園としてのリノベーション、それにまつわる様々な物語は、書籍に譲りたいと思います(参考文献:HIGHLINEアート、市民、ボランティアが立ち上がるニューヨーク流都市再生の物語)。

今回の視察は残念ながら天候に恵まれず、、また、これから緑が芽吹く前の季節だったこともあり、いわゆる日本人がイメージするハイラインではありませんでしたが、それでも天候によってあっという間に表情を変える公園であることを、私たちは目の当たりにしました。実は視察2日目の朝、雨が降る中のハイラインを一度、歩いてみました。そして、午後、雨が上がった、曇りの中のハイラインを歩いてみました。ちょっと天気がよくなっただけで、人の出が全く異なりました。

 

同じ場所を異なる時間で撮った写真を比較してみましょう。公園の表情がどれだけ変わるのか、少しは伝わるかもしれません。

同じ芝生花壇の朝(雨)と、午後(曇り)の写真です。

これはちょっと撮っている場所と角度が違うのですけど、まぁ、概ね、同じ場所を撮影したもの。

ハイラインって来てみて感じたことですが、ニューヨークのなかで決してアクセスがいい場所には思えないけど、それでもこれだけの人。しかも、まだ肌寒い、曇り空でも、これだけの人。晴れて、もっと気温が高い、そして緑がもっと映える季節のハイラインはどうなっているのでしょうか。そんなハイラインも見てみたい。

 

決して便利な場所にあるわけではないハイライン。みんな、ここを目的に集まって来ているんですね。人を集める公園。人は何故、集まるのかを考えさせられました。

 

一方でハイラインも課題はあるようです。例えば、ハイラインに隣接するブロックの建物の高さなどは規制をかける一方で、その分、ちょっとだけ離れたブロックの建物の高さは緩和する措置が取られているそうですが、その結果、住宅価格が上がってしまい、元々、このエリアに住んでいた人たちが居住できなくなったそう。

それはジェントリフィケーションと言えないのではないか、という市民の声が高まっていると聞きました。非常に難しい問題だと感じます。タイムズスクエアもそうでしたが、確かに観光客は集まって来るようになったけど、元々いた人たちが暮らせる環境ではなくなってしまったことを政策としてどう評価するか。

 

そして横浜市会議員である私にとって、やはりハイラインと対比してみたくなるのが東横線跡地です。桜木町駅と横浜駅を結んだ、かつての東横線跡地。この跡地をどう再生するかは横浜市にとって重要テーマです。残念ながら、予算の関係で東横線跡地の再整備は思うように進んでいません。確か20億円ほどの総事業費で整備できたはずです。

 

その20億円の財源を現状では、国費からの負担を視野に入れつつ、基本的には横浜市の財源で整備しなければなりません。これから横浜市に押し寄せる、既存インフラ(学校、市営住宅、橋梁、上下水道など)の更新だけでも莫大な予算を計上しなければならない未来が見えている中で、新規事業の予算を確保するのは、現在の横浜市の財政状況では楽ではありません。

 

この20億円の財源をどうするか。残念ながら今の私には具体的かつ魅力的な財源論を持ち合わせていません。持ち合わせていませんが、大変重要なテーマだと思っているので、今後、調査と研究を進めて、東横線跡地の再整備について、市民と企業、行政が知恵とお金を出し合って、事業を進められる、そんないい形はないか、検討したいと思います。