No.69 横浜市の新市庁舎、移転は決まった。2020年のゴール設定は適切だろうか?

2015年2月号市政レポート.pdf

昨年9月の議会で市役所の住所を変更する、いわゆる位置条例が可決されました。同条例の可決が意味するところは、「新しい市庁舎を建てる」ことを議会が認めたということになります。

 

かねてより、私は新市庁舎については現庁舎のリノベーション+一部新築建て替えが関内周辺のまちづくりの視点からも、財政支出の視点からも現実解と考えていました。横浜市が提示する市庁舎を別の場所(馬車道駅そば)にまったく新しく作り変える案には反対でした。従って位置条例には反対しました。

 

しかし議会として議決した以上、もう後戻りはできません。議決に賛成した議員の責任は当然重く、反対した議員であっても将来にわたって、その責を負わなければなりません。かつてのY150の時のように、予期せぬ事態に陥ることがあっても、今度こそ議会は逃げてはいけないと私は思います。

 

さて、政治的には新市庁舎の建設は決まりましたが、その時期については私は議論の余地があると考えます。横浜市長は2020年までに新市庁舎を完成させると言っています。その理由は「東京オリンピックで世界からやってくるVIPをおもてなしする場所として必要だから」。

 

現在、首都圏を中心にオリンピック需要などの影響から建設資材費や人件費は急騰しています。その状況下で、新市庁舎を2020年までに慌てて建設する意味があるでしょうか。1年前、横浜市は新市庁舎の建設費は616億円と見込んでいましたが、昨年末667億円に上方修正しました。わずか1年で51億円も建設費の見込みが増えたということです。今年4月の統一地方選挙が終われば、その後は契約に進みます。その契約にはインフレスライド条項が盛り込まれますので、現時点では667億円と見込んでいる建設費はさらに膨れ上がる可能性があります。

 

現に首都圏の各自治体では、一旦は計画された公共施設整備事業をオリンピック後まで先延ばしする決断を下しています。例えば、木更津市は横浜市と同様、新市庁舎の建設計画が決まっていますが、2024年に先延ばし、複合施設を予定している豊島区は2020年まで凍結、大型体育館の整備計画を持つ練馬区も工事着工時期を2020年に先送りしました。いずれも、今は建設資材費、人件費が高騰している中で工事に着工すれば、自治体財政へ影響が出るという判断から、です。

 

2020年は横浜市にとっても象徴的な年になるでしょう。この年は横浜市にとって人口減少時代の最初の年になる見通しです。開港以来、初です。

 

私はこれまで「行政を経営する」という視点で、財政規律を保った運営をするべきであると議会でも主張してきました。残念ながら、林市長の市政運営はそれとは真逆の方向に進んでいると言わざるを得ません。2020年、東京を訪れる世界のVIPが仮に横浜に関心を示すことがあるとすれば、それはなんでしょうか。新市庁舎やパシフィコ横浜など、みなとみらいに立ち並ぶ、きらびやかな建物でしょうか。どう考えても違うでしょう。

 

横浜が世界の注目を集めるとすれば、今世界が等しく直面している成熟社会ならでは諸課題を解決した姿、そのソフトパワーこそ、世界の注目と賞賛を集められると思います。そして、横浜はそれができるだけの潜在力を秘めた都市です。

 

高度経済成長時代に数多く作られ、今は高齢化に悩む、郊外部の団地をどう再生するか。大して面白くもない公共施設を多世代が交流できる、魅力ある空間にどう再生するか。通勤電車に往復に2時間も揺られながら、体力的にも精神的にも疲れながら働くという現状をどう変えていくか。子どもたちの笑い声に囲まれた就労環境は本当に実現できないことなのか(職育近接)。

やるべきことはたくさんあります。政治家だけでやり切れるものでもありません。今こそ社会をもう一度、デザインする時代です。最高にワクワクする横浜を、つくりましょう。