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No.31 水道株式会社は要らない(2010年4月号)

横浜市は平成22年度、1億円を出資し、水道株式会社を設立する計画を立てています。
外郭団体の整理・統合が叫ばれている中、私は100%出資の外郭団体を設立すべきではないと考えます。
紙幅に限りがありますが、本レポートでは、横浜市が外郭団体を設立する狙い、日本における水道事業が直面している現状、外郭団体の設立に反対する理由について触れます。

平成22年度、横浜市は水道局OB職員14名と社長1名から成る水道株式会社の設立を予定しています。目的は2つ。1つは本市の水道事業の経営基盤強化のため、もう1つはノウハウの伝承のため。そして、将来は海外での事業展開も視野に入れるとのこと。

水道事業の経営基盤強化という理由は建前だと私は判断しています。横浜市水道局の事業規模と、外郭団体の事業規模があまりにも違い過ぎるからです。横浜市における年間の水道料金収入は約746億円(平成20年度決算ベース)です。対して、外郭団体の5年後の売上高は4億円、営業利益は4000万円です。この外郭団体が横浜市水道局の経営基盤強化に寄与できるとは到底言い難いのが実情です。ノウハウの蓄積に関しても疑問が残ります。水道は膜処理が主流になりつつあり、膜の開発は民間企業にノウハウがあります。よしんば、守るべきノウハウがあったとして、それを水道局としてやらず、外郭団体にやらせる意味がどれほどあるでしょうか。

今、自治体の水道事業は曲がり角を迎えています。横浜市は平成13年度に水道料金の値上げを行っていますが、それでも年々右肩下がりで料金収入が減っています。ご存知の通り、世の中のあらゆるものが節水型になっているためです。県内では横須賀市のように、自前で水道事業を維持できず、民間企業に業務委託する自治体が出てきてます。

横浜市の狙いは、こういった自治体の業務を請け負うことです。法律上、横浜市水道局が請け負えないので、外郭団体を設立するわけです。しかし、ここに落とし穴があります。既に自治体の水道事業を請け負える能力をもった民間企業が11社も存在します。本当に彼らと戦えるのでしょうか?

私は、水道株式会社の設立には反対です。どうしても設立するのであれば、本当にビジネスチャンスがあるというのであれば、民間企業として実施すればよいのではないでしょうか。1億円の出資金を民間企業に募ればいいのです。「将来、この外郭団体が赤字になった場合、どうするのか?」と本会議で市長に尋ねました。市長の答弁は「資産を持たないから問題ない。小さく産んで、大きく育てます」という的を射ないものでした。