2010年5月15日 01:42
先月号では横浜市が100%出資して水道の外郭団体の設立を計画していること、私は計画に対して反対である旨をレポートしました。そうは言っても対案を示さず、反対するだけでは意味がありません。今号では、横浜水道の強みを明らかにしながら、海外水ビジネスを展開する場合の、あるべき姿について述べたいと思います。
横浜水道の強みはどこにあるのでしょうか?私たちが普段何気なく使っている水、国際的に見て競争力があるのでしょうか。
海外で水ビジネスを展開するのであれば、少なくとも自分たちの強みと弱点を理解しておく必要があります。その上で、弱点を誰に、どのような形で補ってもらうのか、その戦略が重要になります。私は、横浜市が海外で水ビジネスを展開するチャンスがわずかではありますが、あると思っています。
下の表をご覧下さい。世界における水道事業者の漏水率の一覧表です。どうですか?横浜市や東京都の漏水率の低さが際立っています。漏水率が10%を切れば優秀とされる中で、漏水率が5%を切る日本の水道技術の高さは目を見張るものがあります。ここは横浜市にとって大きな強みになります。もう1つ、強みがあります。それは膜技術。東レや日東電工、三菱レーヨンなど世界における日本の膜メーカーの存在感は際立っています。もっと言えば、水道水の質の高さ。世界の中で、蛇口から出る水を飲める国は、たった11カ国しかありません。高品質な水を漏水率5%以下で供給している、日本の、横浜の水道技術は極めて高いと言えます。
ただし、技術だけあっても世界では勝てません。技術は世界最高水準を誇りながら、海外市場で存在感が全くない日本の携帯電話を見れば、一目瞭然です。何が足りないのかと言えば、海外市場における需要(市場ニーズ)を的確に把握する能力です。要はマーケティングが足りないのです。
本気で海外で勝負するのであれば、まずやるべきは自治体同士のつまらないプライドを捨てること。つまり小異を捨てて、オールジャパン体制を構築し、海外に打って出るべきです。恐らく、日本が海外の水ビジネスで土俵に乗るにはオールジャパンでやる以外にありません。
既に東京都は動き出しています。商社や金融機関と手を組んで、海外に打って出る準備を進めています。技術力が高い東京都と横浜市が手を組めば、私はまだ可能性があると思います。そして、もっと重要なことは、海外での契約や資金調達などはノウハウを持った商社や金融機関などに任せること(図1)。自治体の水道事業が持つ強みはあくまで、出来あがったシステムの運営です。世界のマーケットで戦うのは、生半可な覚悟では無理です。ましてや、公務員だけの集団では絶対に無理です。今後、議会の中で問題提起をしていきたいと思います。
